ぐーたらな社員だった私の目を覚ませた本を紹介いたします。
「世界500万人が実践する営業術」、原著のタイトルは「The Psychology of Selling 」です。
本当に世界500万人が実践しているかは置いておいて、世界中で売れた本には間違いありません。
営業術自体としてはどちらかというと小型商談向けの内容ですが、ただの営業本と異なり、著者ブライアン・トレイシーがトップ営業者、成功者に成るまでに実行した日々の準備、考え方など自己啓発的な要素も多いのが特徴です。
大した営業スキルもない平凡な営業員で、「そろそろ腰を据えて営業に力を入れてみるかな」っと思ったらこの本はお勧めです。
著者紹介
ブライアン・トレイシーとの出会い
実際にはご本人と出会ったことはありませんが、どうやってブライアン・トレイシーを知ったのか最初に記したいと思います。
海外営業員として平凡だった私は、家でいつものごとくYoutubeをダラダラと観て時間を潰していました。
ふと、英語の勉強になるかと思い、海外の営業トレーニングの動画を検索してみることにしました。
いくつかの動画の中の一つに、声がこもり気味なおっさんというか初老気味な男性が営業術についてスピーチしていたので、こもった声で聞き取りにくかったのですが逆にリスニング強化に繋がると思い聴いてみることにしたのです。
その時はそれが誰かなど全く気にしていませんでした。
その後、平凡な営業員から脱却するには営業本でも買って勉強してみるか、とAmazonで適当に探している時に何か良さそうかと思ったこの本をポチッと注文しました。
読んですぐに感銘を受けた私は、早速に著者をYouTubeで検索してみると、あらら、何とあの時観た、初老男性でこもった喋り方をする人、それがブライアン・トレイシーだったのです。
以来、彼の本を買い漁り、原本や翻訳本含めてほとんどの著書を読んだかと思います。
ブライアン・トレイシーとは
ブライアン・トレイシーは高校を途中で辞めて、日雇い労働で日々を食い繋ぎ、その後にフルコミッションの営業員となります。
成績も悪く毎月の家賃を支払うのが精一杯な状態でした。高校も出ておらず、収入も安定しない生活をしているうちに何かに気が付きます。
上手くいっている人と、上手くいっていない人との違いは何か?成功者と成功していない人は何が違うのか。営業で稼いでいる人と稼げていない人の違いは何か?
成功者と同じことをすれば自分も成功出来るのではないかと思います。
そして会社で1番のトップ営業員に意を決して、営業方法について聞いてみます。それはブライアン・トレイシーが今までやってきた営業とは全く異なるものでした。
早速に教わったことを実践していくと営業成績が上がってきます。
さらに営業セミナーに参加したり、多くの営業本やオーディオテープを聴き始めると次第に彼も会社のトップ営業員になります。
その後、多くの業界でトップ営業員として働き、ついには自身の会社を設立し、世界中で講演やセミナーをする人気講演者となったのです。
今は、おじいちゃんの姿になっていますが、たまに自身の会社のYouTubeチャンネルにも出演して彼自身の成功哲学を伝えています。まあ、言っていることは同じことの繰り返しになってしまいますが。。。
レビュー
前述したように営業手法がBtoCや少額商談向けなので、正直言って大型商談にはバッチリとハマらないかなと思います。
大型商談と少額商談の違いについては下記本のレビューをご参考ください。
また、書かれている営業術自体は基本的なもので、既に中堅以上の営業員であれば特に目新しいものはないかも知れません。
しかし、実際はそんなことはどうでもよく、この本の醍醐味は成功者マインドを教えてくれる点にあります。
単なる営業本ではなく、どのように毎日過ごして、どのように日々考えて、いかに自分を律して成功するかを教えてくれます。
既に自分を律して日々を送っている方や、そんなこと言われなくても分かってるという方にとっては、読んでも何も響かない本でしょう。
しかし、すぐに誘惑に負けて楽な道を取ったり、常に自分に甘く、成長に興味がなく、苦労は避けたい、別にこのままでいいや、という人にとっては、「よっしゃ、いっちょ頑張るか!」「営業トップをめざしてみっか」と思わせるような本です。
いくつも著書を出版しているブライアン・トレイシーの共通した考えは、「成功者から学べ」で、彼も多くの成功者から多くのことを学んで実践してきました。
恐らく彼の考えの基礎となっているのは、自己啓発作家のナポレオン・ヒルの”Think and Grow Rich” (邦題名: 思考は現実化する)でしょう。このナポレオン・ヒルの成功哲学もなかなかに興味深く、信じるか信じないかはあなた次第的な内容ですが一度読んでみると面白いと思います。
このナポレオン・ヒルの成功哲学をブライアン・トレイシーなりに改良、新たな考えを組み込み、誰でも実践しやすく、分かりやすくして、それを営業術に特化して書いた本が本著なのでしょう。
興味を惹いた考え
ウイニング・エッジ理論
ウイニングエッジ理論とは、理論というほどのものではありませんが、人よりほんの少し秀でることで他人とかなりの差をつけることが出来るというものです。
競馬で鼻差で勝った馬は二着の馬よりも数十倍の賞金を手にしますが、だからと言って一着の馬は二着の馬よりも数十倍優れているということではないということです。
営業でも他の営業員と比べて秀でている分野を見つけて自分だけの武器にすることが大切だと伝えています。
80:20の法則
ブライアン・トレイシーと言えば、80:20の法則 (80-20 rule) 、即ち「パレートの法則」です!?
彼の本には毎回出てくる80:20の法則 (80-20 rule) とは、つまり上位20%が残り80%よりも優れているというもので、営業に当てはめると、上位20%の営業員が売上全体の80%を稼ぐということになります。
つまり、会社の総売上を占める80%を上位20%のトップセールスマンが稼ぎ、総売上に占める20%を残り80%のセールスマンが稼いでいるのです!
世界の上位20%の企業が世界経済の80%を回しているのです!!
大切なもの10個のうちの2個が他8個を合わせたものよりも価値があるのです!!!
このルールを日々の業務に適用すると、上位20%の仕事に集中して、上位20%の顧客を攻めることで効率的な仕事が出来る、大きな売上を上げることが出来る、というものです。
タイムマネージメントにおいてもこの80:20の法則は効果的で、本当に重要で緊急にやらなければならない事は実は20%しかないものなので、あとの80%は今はやらなくてよかったり、全くやる必要のないものなのだから後回しにしたり、他の人にやらせるか、完全にやめるように推奨しています。
だからこの20%のやるべき事に集中して取り組むことで早く終わらすことが出来て、時間も効率的に使うことが出来る。
原因と結果
「The Law of Cause and Effect」、つまり因果の法則ですが、今の自分の環境は過去の自分の行いの結果なのです。結果には必ず原因があります。
ということは、成功者がなぜ成功したのか?、それは彼らが過去に実行した方法が正しかったからで、その成功者と同じやり方をすれば、自分も成功できる、というのがブライアン・トレイシーの考えで、彼自身もそうして成功してきました。
何故、トップ営業員はあれだけ売り上げを挙げることが出来るのか?彼らと同じことをすれば自分も売り上げが上がるはず、という考えです。
どの世界でも通常の人は自己流では成功しないので、成功者の真似をしなさい、というのは、誰もが分かっていながら実践する人は少ないのが現実で、この徹底的に真似をする、という行為も自分を律しなければ不可能なのだと思います。
総評
この本で教える営業術は今現在では目新しいものではないかもしれません。
しかし。。。
巷の営業本とは異なり、「営業本かつ自己啓発本」という2つのジャンルを見事に融合させた名著!?なのです。
それはブライアン・トレイシー自身がトップ営業員でもあり、かつ生涯学習を続け自らの成功哲学を作り上げてきたからこそ出来た奇跡!?の本なのです。
1回読んで終わりではなく、何度も定期的に読んで、モチベーションを上げるには良い本だと思います。
毎朝起きたら鏡を見ながら、「私は自分が好き」と繰り返し言うことで自己を高め、毎日人生の目標を紙に書くなど、
ただし、前述したように、すでに自分を厳しく律して日々を送られている方には響かない内容の本だと思います。
日本語訳だと、本の中で出てくる営業シーンで使われている言葉の英語表現が分からず、海外を相手にする我々にとっては日本語から英語に自分で再翻訳することになるので、英語中級以上であれば原著に挑戦することもお勧めします。堅苦しい英語は使ってなく、比較的わかりやすい英語で書かれてました。
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