2021年、アメリカはオハイオ州、アメリカ空軍博物館を訪問しました。
そこにミグ21(MiG-21)戦闘機が展示されていました。実はミグ21は戦闘機の中で一番好きな戦闘機で一度は実物を見てみたかったのです。
アメリカ空軍博物館のミグ21
ついに夢叶う。
少年時代にベトナム空中戦の本やエリア88を読んで以来、西側陣営戦闘機の好敵手!?ミグ21を遂にこの目で見ることが出来たのです。
アメリカ空軍博物館のミグ21はMiG-21PFというモデルです。北ベトナム第921戦闘機連隊の機体とのことです。
機首の空気取り入れ口に付く三角のショックコーンと言えば、すぐに思いつくのはミグ21!
そしてスホーイ7、17も、英国戦闘機でいえばイングリッシュ・エレクトリック・ライトニング(何て長い名前だ!)も三角ショックコーン仲間です。
↓ショックコーンを正面から見る。この絵柄はエリア88にもよく出てきた。
実はミグ21PFは機銃が付いてなく、空対空ミサイルのみを発射します。これは格闘戦が減り、遠距離格闘でレーダーによる空対空ミサイルが主流になったためですが、当時のミグ21に限らずアメリカ軍のF4ファントムも機銃は付いていませんでした。
ベトナム戦争でのミグ21戦績
西側の好敵手でベトナム戦争では危険な戦闘機として認識されていたようです。と言ってもF4ファントムとは五分五分の勝負をしていたわけでありませんでした。
加えて北ベトナム空軍の空対空ミサイルの信頼性もなかったのですが、格闘戦に持ち込んで得意の旋回戦で挑むも高機動を活かしたF4ファントムの3次元機動でやられることも多かったそうです。
ちなみに昔読んだベトナム空中戦の本では、北ベトナム空軍は3次元機動を使わず水平機動のみだったそうで、一例だけミグが三次元ロールを行ったという記録があるようです。
パイロットの質にも依るんでしょうね。と、ミグ21を庇ってみました。
F4ファントムには分が悪かったので専ら爆弾を積んで動きが重くなったF105サンダーチーフなどの戦闘爆撃機を格好の餌食にしていたようです。ちなみにF105サンダーチーフは私が小さい頃に読んでたベトナム空中戦の本にも結構出てきた、ベトナム戦争で活躍した戦闘爆撃機です。
ミグ21もサンダーチーフ相手ならバカスカと墜としますが、それはサンダーチーフが爆弾をたくさん抱えて動きが鈍っていたからこそで、爆弾を捨てて身軽になったサンダーチーフにはやられる事がありました。
それでもミグ21は当時の最新鋭戦闘機で機動性能が高く、北ベトナムで使用されたミグ17、19と比べても遥かに優れていたため、アメリカ軍のその危険性を十分に認識していました。
博物館資料によるとベトナム戦争でミグ21は約50機のアメリカ軍機を撃墜して、逆にアメリカ空軍は68機のミグ21を撃墜しています。このアメリカ側のミグ21撃墜数にアメリカ海軍の記録は含まれていないのでさらに多く撃墜されているものと推測されます。
その後、中東戦争ではアラブ諸国のミグ21はイスラエル空軍の戦闘機に一方的に墜とされるという記録を作ってしまうのです。好きな戦闘機なので庇いますが、アラブ諸国のパイロットが未熟なのと、ソビエト軍のミグ21よりも性能を落とした輸出仕様機という面もあるでしょう。
※ 本記事は管理人が以前運営していた「GUN雑誌DIGEST」に掲載していた記事を加筆、修正したものとなります。
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