海外出張で現地を散策していると意外な出会いがよくあるものです。私にとってソ連、ロシア軍機はまさに「出逢い」と言ってもいいでしょう。現在でも西側陣営では実物を見る機会がほとんどありません。
子供の頃から筋金入りのソ連、ロシア軍機ファンでしたが、当時は冷戦真っ只中で「壁の向こう」の情報は非常に少なく、だからこそ、その神秘に包まれた機体に惹かれ、出逢いに焦がれていたのです。
今回はソ連時代の最先端戦闘機、ミグ23とミグ27との出逢いのお話です。
ミグ23、ミグ27とは
ミグ23 (MiG-23) 、ミグ27(MiG-27)は通称フロッガーと呼ばれています。ミグ27はミグ23の発展型でミグ23シリーズとして数えられています。どちらかというとミグ23が前線戦闘機、ミグ27が戦闘爆撃機のようです。
ミグ23、ミグ27は70~80年代に大流行した!?可変翼を採用しています。F14トムキャットやNATO軍のトルネード、半可変翼のスホーイ17など当時はどこもかしこも可変翼祭り、終いにゃアニメでもマクロスのバルキリーも可変翼でした。可変翼が最先端で正義だった時代なのでした。
そんな流行に乗ったミグ23、ミグ27フロッガーは当時最先端の戦闘機だったのです。しか~し、実戦での成績は他ソビエト製ジェット戦闘機と同様にあまり芳しくはなかったような。。。
でも中東戦争やアフガニスタン戦争(ソビエト侵攻)で実戦投入されて一応は西側陣営の戦闘機を撃墜しているようですのでそれなりに活躍はされたようです。
今までミグ23シリーズの機体は2回見たことがあって、一機はインドの軍事施設の側、もう一機はアメリカ空軍博物館でした。
インドで見たMiG-27
インド出張中、とある街でタクシーに乗って顧客工場に向かう途中、有刺鉄線のある汚らしい壁がずっと続いていたので何か軍の駐屯地があるのかな?とぼんやりと眺めていたら、展示された戦闘機が現れました。
慌ててスマホを取り出し、おおい!もっとゆっくり走らねーかっ!と心で叫びながら短い時間で数枚撮影しました。
西側戦闘機ではなさそうな機体だったので、タクシーの中で撮影した写真をよーく見てみると、ミグ23?いや、ミグ23の発展型で戦闘爆撃機のミグ27だったわけです。
実はこのミグ27が私が人生で初めて見たミグ戦闘機でした。インドの汚い街の汚い軍施設で雨晒しにされて汚く展示されていましたが感動です。ついに私は「ミグ」に出逢ったのです。
ミグ27を下から見る事も出来たので貴重な体験でした。なかなか戦闘機の下を見る機会はありません。胴体真ん中に機銃が取り付けられているのが分かりますね。
インドは旧共産圏ではありませんでしたがソビエト製戦闘機を多く運用していた珍しい国で、今後もミグやスホーイをどんどん使用して欲しいと思います。
アメリカ空軍博物館のMiG-23
今度はアメリカ出張で空いた時間にアメリカ空軍博物館を訪問した時にミグ23(MiG-23MS フロッガーE)に出会いました。
この機体は綺麗に保存されていて、近くで見る事が出来ました。意外に小さかったのが正直な感想です。この機体はミグ23MSですのでソビエトからの輸出モデルで、かつワルシャワ機構加盟国以外向けとなります。なので、性能が落とされたミグ23ですね。
このアメリカ空軍博物館の機体は中東かなんかで捕獲されたのではないでしょうか。
冷戦真っ最中の小学生の頃、「航空ファン」という雑誌でミグ23の記事を読んで以来、ソビエト戦闘機に興味を持つようになったのですが、冷戦中で共産圏の情報が少ない中、鮮明ではない写真(カラーじゃなかったような。。。)を見たときは大きい機体だと思っていたんですけどね~。
エンジンが一基なので大きい訳ないのですが、機首とエアインテークの形状が、当時バリバリ現役のF4ファントムにちょっと似てると思ったので、それなりに大型な機体なんだろうと当時は思ってしまいました。
正面から見ると翼の位置が胴体下にあればファントムっぽくもありますね。実際はミグ23とファントムでは機体の大きさはかなり違います。
機首にエアインテークがあるミグ15、17、19、21から洗練されたデザインになりました。西側陣営の戦闘機とあまり変わらない機体デザインですが、ミグ23以降はソビエト戦闘機らしい無骨なデザインがなくなります。
ちなみにアメリカ空軍博物館はオハイオ州のデイトン市にあります。デイトン市はオハイオ州の州都コロンバス市とケンタッキー州の州境にあるシンシナティ市の中間にあります。空軍博物館の入場料は無料ですが入場の際に館内マップでも買ってあげましょう(寄付金みたいなもんです)。
※ 本記事は管理人が以前運営していた「GUN雑誌DIGEST」に掲載していた記事を加筆、修正したものとなります。
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