インボイスとは?輸出から請求まで様々なインボイスを分かりやすく解説します

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上司からインボイスを作ってと言われたけどインボイスって何?

どうやって作ればいいの?

インボイスとは相手に送る請求書であったり、通関申告用であったり、様々なシーンで使用されるため初めての方にとっては混乱するかと思います。

貿易業務に関わっている方が「インボイス」と聞けば、「ああ、通関時に提出するインボイスね」や「送り状のことね」と思い、貿易業務を知らない方が聞けば、「ああ、請求書のことね」と思うかも知れませんね。

私も初めて貿易に関わった時は、「送り状」なのに「請求書」???などと混乱しました。

それぞれのインボイス、それらの役割について説明をしたいと思います。

インボイスの種類

混乱を避けるためにここでは用語を使い分けてみます。

まず、簡単に種類を分けます。

  • インボイス Invoice/Billing Invoice
  • プロフォーマインボイス Proforma Invoice
  • コマーシャルインボイス Commercial Invoice/Invoice
  • カスタムズインボイス Customs Invoice

他にもデビットインボイス(Debit Invoice)やクレジットインボイス(Credit Invoice)などありますが、これは割引や返金などが発生したときに使用されるもので、今回は説明を割愛いたします。

インボイス Invoice/Billing Invoice

皆さんが思う「請求書」だと思っていただいて構いません。基本、売主から買主に提出する請求書のことで、Invoiceと言いますがBilling Invoiceとも呼ばれます。

貿易で使用するCommercial InvoiceもInvoiceと呼ぶことが多いので、もしあなたの会社が海外貿易をしないのであれば(例えば、あなたが米国の会社で働いていて、基本的に商取引は米国内のみの場合など)、単にInvoiceと呼んでも支障はないと思います。また逆も然りです。

しかし、「いやいや、現地内取引や海外貿易もあるよ!」、というのであれば、混乱を避けるために呼び方を変えるのもよい案です。

例えば、米国内取引であればInvoice、海外取引であればCommercial Invoiceなど。また、その逆で米国内取引であればBilling Invoice、海外取引であればInvoiceなど、どちらがメインなのかで決めてもいいかもしれません。

プロフォーマインボイス Proforma Invoice

通常の商取引では「仮の請求書」、貿易用語であれば「仮のコマーシャルインボイス」と考えて構いません。

日本語ではProforma Invoiceは「見積書」と訳されることがありますが、正解でもあり間違いでもあります。では、通常の見積書(Quotation)とは何が違うのでしょうか?

Quotationの場合、売主から買主に提出されますが、買主が商品やサービスを注文するとは限りません。したがって買主は購入の義務は一切ありません。

対して、Proforma Invoiceの場合、同様に売主から買主に提出されますが、買主はすでに売主に商品やサービスの提供を合意しています。すでに商品やサービスの提供が双方で合意されていなければならないのが大きな違いです。

例えば、お客様の工場に行って設備の修理作業をするとします。修理作業自体は双方で合意されています。実際に修理が完了したあとに最終的な修理費用を請求しますが、修理作業実施前にその修理費用を予測した見積費用を提供したものがProforma Invoiceです。つまり、お客様が修理の実施を依頼して、こちらからは作業前にお客様に対して「これくらいの費用となりますよ」、と仮の請求をするわけです。

このように考えると、貿易で使用される「仮のコマーシャルインボイス」も理解できるかと思います。最終価格、条件、個数などが記載された正式なコマーシャルインボイスではないが、輸出をする前の段階で、輸入者が輸入許可を取得したり、信用状(L/C)を開設するときに仮で提供するインボイスとなります。

どちらも正式な請求書としては使えませんのでご注意ください。

ちなみにQuotationについては下記記事をご参照ください。

コマーシャルインボイス Commercial Invoice/Invoice

「国際貿易で使用する請求書兼送り状」と考えて構いません。貿易で「インボイス」といったら、Commercial Invoiceのことです。

貿易では必ず必要とする重要書類で、輸入地の税関がCommercial Invoice記載の品名、金額を基に輸入関税などを決定します。

Commercial Invoiceに記載する価格は、買主に正式に請求する価格と同じである必要があり、もし実際に買主から受け取る金額よりも低い金額を記載していた場合、輸入関税の脱税になります。

Commercial Invoiceには以下の内容が含まれている必要があります。

  • 輸出者/荷送人(Shipper)
  • 輸入者/荷受人(Consignee)
  • インボイス番号(Invoice Number)
  • インボイス日付(Date)
  • 内容(Description of Goods)
  • 品目(Item)
  • 単価(Unit Price)
  • 個数(Quantity)
  • インコタームズ貿易条件(Incoterms)
  • 建値(Currency)
    ドル建て、円建てなど
  • 支払い条件(Payment Terms)
  • 署名(Signature)
  • 原産国(Country of Origin)

カスタムズインボイス Customs Invoice

貿易で使用する「輸入通関用のインボイス」と考えて構いません。

輸出先の国によってはCustoms Invoiceを求められることがありますが、単に輸入通関目的だけにインボイスを使用したいという場合でも使用しても構わないと思います。例えば、輸入通関用と請求用でインボイスを分けて作りたい時などです。

私の経験で実際にあったことですが、無償品を送ったにもかかわらず、お客が荷物に添付されていたCommercial Invoiceを自社の支払い部門に送付してしまい、誤って記載金額を支払ってきたことがありました。Commercial Invoiceは荷物と一緒に付いて届けられるため、そのような誤解を避けるためにCustoms Invoiceを使用することもありました。

通関目的のインボイスですので、買主への請求書としては使えません。

サンプル例

Commercial Invoice/Customs Invoice

Commercial Invoiceを基にサンプル例を作成いたしましたので参考にしてみてください。

Customs Invoiceも作りたいよ、という場合は、タイトルのCommercial InvoiceをCustoms Invoiceに変えるだけでOKです。Commercial Invoiceのほうが記載事項が多いので、大は小を兼ねるといいますか、適宜不要な項目は削除してみてください。

Billing Invoice/Proforma Invoice

Billing Invoiceのサンプルです。Commercial Invoiceと異なり、相手への請求に必要な情報を記載しておけば十分かと思います。

Proforma Invoiceも作りたいよ、という場合は、タイトルのInvoiceをProforma Invoiceに変えるだけでOKです。

まとめ

まとめです。

  • インボイスにはいくつかの種類がある。
    インボイス Invoice/Billing Invoice
    プロフォーマインボイス Proforma Invoice
    コマーシャルインボイス Commercial Invoice/Invoice
    カスタムズインボイス Customs Invoice
  • インボイスは基本、売主から買主に提出する請求書のことで、Billing Invoiceとも呼ばれる
  • プロフォーマインボイスとは、通常の商取引では「仮の請求書」、貿易用語であれば「仮のコマーシャルインボイス」のこと。正式な請求書ではない。
  • コマーシャルインボイスとは、「国際貿易で使用する請求書兼送り状」のこと。
    貿易では必ず必要とする重要書類で、輸入地の税関がCommercial Invoice記載の品名、金額を基に輸入関税などを決定する。
  • カスタムズインボイスとは、貿易で使用する「輸入通関用のインボイス」のこと。請求書としては使えない。

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