海外から見積りが欲しいと連絡を受けた!
英語で見積書はどうやって作ればいいの?
上司から見積書を作っておけ!と言われたけど、何に注意して作ればいいの?
英語の見積書は日本国内向けの見積書と何が異なるの?
海外向けの見積書を作成するには、貿易条件など海外営業員として前もって理解しておかなければならない知識も要求されるため、新しく海外営業員となった人には多少難しいかも知れませんが、「あれ?前に貿易やってた?」、「前の仕事も海外営業員だったの?」な~んて言われることを目指して、簡単にかつ重要な点のみに絞って説明します。
見積書とは?
見積書とは、あなたが提供する製品やサービスの価格、納期、支払い条件等を提示して、相手に購入の権利を与える文書と考えてください。
見積書を相手に提出するということは、相手にあなたの製品やサービスを販売しますよ、といった意思表示になります。
海外を相手にしていると、たまに得体の知れない会社や販売したくない国から問い合わせがくる場合もあります。
断るのも申し訳ないから、とりあえず相手が諦めるように価格をめちゃくちゃ高くした見積書を提示しようと、所謂「お断り見積り」を提出してはいけません。
相手がその価格でもOKとして注文書を送ってくる場合もあります。特にあなたの製品やサービスが高精度・高品質で競合他社を凌駕している場合や、市場を独占している場合、他国からの入手が厳しい場合など、相手はいくら見積価格が高くても購入する気満々でいる場合があります。
売りたくない相手や国に見積書を提出して注文となり、やっぱり売りません、では相手とトラブルとなります。海外の相手とのトラブルは非常に面倒ですので「お断り見積り」は避けたほうがいいと思います。
見積書を作成する前に確認すること
特に大型商談の場合ですが、海外からコンタクトがあり、見積書が欲しいと言われて、「はい、喜んで!」とそのまま見積書を作って提出してしまっては営業員としてはMediocre(平凡)です。
また、商談を重ねて最終的に見積書を提出することになっても相手の要望に合っていない見積書を提出してしまっては、「この人、ちゃんと理解しているのかな?今後もつきあうとなると心配だな」と、相手から信頼されなくなってしまいます。
営業員は相手から信頼されること、頼りにされることが大切ですので、見積りに必要な情報は必ず把握しておいて相手から聞き出しましょう。
営業員になったころは見積書=すぐに注文、というイメージがあったので、相手からあまり情報を聞かずにすぐに見積書を送っていました
見積りに必要な情報を把握する
カスタマイズ仕様やオプション品が多い製品やサービスの場合、相手の要望を正確に把握せずに見積書を作ることは難しいです。長年の経験からおおよその仕様やオプションなどは特定できる場合もありますが、それでも相手に聞かなければ分からない情報は多いかと思います。
情報のジグソーパズルを作っているのだと思ってください。全体から見てどのピースが抜けているのか、いくつのピースが見つからないのか、それらのピース(つまり個々の情報)を相手に聞かなければなりません。
もっと商談を重ねないと完全な情報を得ることが難しい場合や、相手から早く見積書が欲しいと言われている場合など、ジグソーパズルを完全に完成させる必要はありませんが、せめて80%は情報を得ている状態にしておきたいです。
相手から聞き出そう
本来は商談を重ねながら徐々に相手に必要な製品、仕様、オプションなどを把握していくのですが、それが難しい場合はメールのやり取りで確認していくことになります。
例えば、
「このシリーズにはいくつかのモデルがありますが、どちらのモデルですか?」
「追加のNC制御軸は必要ですか?」
「トランスはつけたほうがいいですか?それとも自前のものを使いますか?」
などの製品モデルや仕様、オプションをそのまま相手に聞けば手っ取り早く見積書が作れますが、相手はあなたから言われたことに対して回答しているだけで、言われていない点についてはあなたは理解できない可能性があります。このようなクローズド・クエスチョンだと情報の抜けが出る場合が多いです。
クローズド・クエスチョンは手っ取り早く特定の情報を得ることに大変有効ですが、シチュエーションによってオープン・クエスチョンと使い分けをしたほうがいいでしょう。
まず、相手がなぜその製品やサービスを欲しているのか背景を聞いて、本当のニーズを掘り下げていきましょう。そうすることで、相手にドンピシャな製品、仕様、サービスの見積書を提示することができます。
また、それらの情報入手の過程の中で、相手からあなたへの信頼が生まれてくる可能性もあります。
メールでやり取りをする場合は、下記記事もご参考ください。
見積書を作成する
価格を公表していない製品やサービスの場合、通常は注文前や商談成約前には見積書(Quotation)を提出することになります。
見積書には以下の項目が最低限は記載されていれば十分かと思います。
- 見積書番号(Quotation Number)
- 見積書日付(Date)
- 見積有効期限(Valid for/Valid until)
Valid forは期間、Valid untilは期限と覚えておくと良いです。
例えばValid for 30 days、Valid until May 9, 2023など。 - 見積者(あなたの会社名、住所など)
- 見積り相手の会社名、住所など
- 見積内容(Description of Goods)
- 見積品目(Item)
- 単価(Unit Price)
- 個数(Quantity)
- インコタームズ貿易条件(Incoterms)
インコタームズ (Incoterms) とは、国際商業会議所 (International Chamber of Commerce: ICC) が策定した貿易条件で、通関や輸送費用などを輸出者、輸入者のどちらが負担するかを定義したものです。
海外営業員としては必ず覚えておかなければならない貿易条件です。 - 建値(Currency)
ドル建て、円建てなど - 支払い条件(Payment Terms)
- 納期(Delivery)
- 署名(Signature)
返品条件や他に留意いただきたい点を書く場合は、備考欄(Remarks)に記入してもOKです。
梱包サイズ情報もあれば親切
FOB条件などで、相手が輸送費用を負担する場合は、梱包重量やサイズなども記入しておくと親切です。なぜならば、相手はその重量とサイズ情報を基に輸送費用を算出しなければならないからです。営業としては、基本的に相手側の負担を軽く、作業を少なくしてあげることが大切です。
- 輸送手段(Ship Via)
- 梱包個数(Number of Packing)
- 梱包材質(Packing Material)
- 梱包サイズ (Pack Size)
- 梱包重量 (Pack Weight)
- コンテナサイズ(分からない場合は不要)(Container Size)
- 輸出港 (Export Port)
英文見積書サンプル例
サンプル見積書を作りましたので参考にしてみてください。
予算取り目的の概算見積書の場合
正式な見積ではなく、相手側が予算取りのために概算見積書を要求してくることはよくあります。その場合は仕様やオプションなどの確認が不十分でも概算価格を提示することは可能です。
想定する正式見積価格よりも高い価格を提出すればよいでしょう。仮に予算が通ったとして、その予算よりも正式見積価格が高かった場合、購入が難しくなる可能性もありますので、概算見積価格は高めに提示したほうが良いと思います。
また、見積書を提出するときには、正式な見積書ではなく概算で将来価格が変更することもありますよ、という意味を込めて、単なる「Quotation」や「Quote」は用いずに、Budgetary QuotationやEstimateと名称を使うとよいでしょう。
Ballparkとは?
海外から”could you give us a ballpark?”や”give us a ballpark figure”などと依頼がくる場合があります。特にネイティブの英語圏で用いられていますが、このballparkとは概算見積価格のことです。
ここでは野球場のことではありませんので、Ballparkという言葉を覚えておきましょう。
逆にこちらから見積もりたい時に”I will send you a ballpark figure”などと使うこともできます。
見積書を提出する
見積書を作成したら、相手に提出します。ほとんどの場合はメール送信となるかと思いますが、メール送信時の注意点や文面例などをお伝えします。
見積り内容の再確認
見積書を提出する前によ~~~~く内容を確認しましょう。また、上司などに確認依頼をしてもらい間違いのないようにしましょう。
よくあるミスが、同じテンプレートを使いまわして、古い情報が残っているケースです。前に提出した会社名がそのまま残っていたり、担当者名が異なっていたり、そのまま提出してしまうことのないように十分に確認しましょう。
一旦、見積書を印刷して、各項目を確認して、確認した項目にはペンで印をつけて全て間違いがないか、確認することをお勧めします。私の経験から、画面に表示しての確認よりも、紙に印刷したもので確認したほうが間違いが少ないです。
間違えたことに気が付かず提出してしまったことがよくありました。。。
メール宛先の再確認
メールの宛先が間違いないか十分過ぎるほど確認しましょう。誤って関係ない人に送るのはまだしも、相手の競合他社に送ってしまっては大問題です。
メールソフトにすでに相手のアドレスが登録されている場合、相手の名前だけ表示されて、ドメイン部分が表示されないことがよくあります。
他にも同じ名前の方が登録されている場合、異なる方のメールアドレスを誤って選択することはよくありがちです。
例えば、下の画像のようにAndyだけで、ドメイン(@以降のアドレスのこと)まで表示されないことがあります。他にもAndyさんがいた場合、この表示されている宛先が本当に送信したいAndyさんか分かりません。
ですので、ドメインまで表示されていない場合は、きちんとドメインまでを確認して相手先のドメインであることを確認しましょう。
例えば、Outlookメールの場合だと、表示された宛先名をダブルクリックすると、連絡先情報が表示されますので、そこでドメインまで含めてメールアドレスが確認できます。
添付したファイルの再確認
これまた、よくあるケースですが、誤ったファイルを添付してしまうこと。全く関係のないファイルを送信する程度ならいいですが(実際はよくはありませんが。。。)、他社に見積もった見積書や他社から貰った注文書を添付してしまえば、大大大トラブルですっ!
デスクトップを整理せずに、そのまま過去の見積書や注文書を置きっぱなしにしていると、このようなことが起きてしまいます。
まずは、デスクトップの整理整頓を常日頃から行うこと!
そして、作成したファイルは必ず指定のフォルダに保存すること!
注文書などの重要なファイルはデスクトップには置かないこと!
これらは意外に出来ていない人が多く、いつか取り返しのつかないミスをする可能性がありますので気を付けましょう。
メールの文面サンプル例
メールで見積書で送る時の文面サンプルを作りましたので参考にしてみてください。
「~様」
(上→下:丁寧→カジュアル)
Dear Mr. John Smith,
Dear Mr. Smith
Dear John
Hello Mr. Smith
Hello John,
Hi John,
「添付にて見積書を送信いたします」
Kindly find attached our quotation for our product.
Attached please find the quotation for our product.
Please see the attached quotation.
I am sending you the quotation.
「ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。」
Should you have any questions please feel free to contact me anytime.
Don’t hesitate to contact me if something is not clear.
Please let me know if you have any questions.
メール全体サンプル例
Dear Mr. Smith,
Kindly find attached our quotation for our product as per your request.
Should you have any questions please feel free to contact me anytime.
I look forward to hearing from you.
Thank you,
Torao Nihonmatsu
BETOP20
まとめ
まとめです。
- 「お断り見積り」はお勧めしない
- 見積書を作成する前に相手から十分な情報を得ること
- 概算見積書の場合は「Budgetary Quotation」や「Estimate」を用いる
- 相手側が輸送費を負担する場合は、梱包情報などを記載すると相手には親切
- 見積書を作成したら、見積内容の確認を十分に行うこと
- 見積書をメールで提出する場合は、相手のメールアドレスと添付内容に間違いがないか十分に確認すること
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