2016年、大きな商談をまとめるために日本からアメリカに降り立った私は、空港でレンタカーを借りてホテルに向かい、熱いシャワーを浴びて長いフライトで疲れた身体をスッキリさせると、翌日の商談の準備を放ったらかして、とある市内のガンショップに向かった。
目的は、ルガー社のSR1911 (Ruger SR1911)を借りて撃つことだ。以前ルガー社の射撃トレーニング動画で使用されていたSR1911を見て以来、気になっており撃つチャンスを伺っていたのだ。
ルガー社のSR1911について
SR1911は.45ACP弾を使用する45口径のオートマチックピストルです。「コルトガバメント」でお馴染み!?の1911タイプです。
SR1911はガバメント・シリーズ70の機構を継承しており、シリーズ80以降に採用されたファイヤリング・ピン・ブロックが装備されておらずトリガーの引きがスムーズに行えて発射出来るようです。そのためトリガープル(トリガーを引くこと)の感覚に慎重な射手にとってはシリーズ70を好むそうな。実際に私はシリーズ70、シリーズ80それぞれの機構を撃ちましたが素人にはトリガープルの違いが全く分かりませんでした。
高級ブランドかつ人気のあるのKimber社やNighthawk社の1911モデルの価格は4桁(USドル)で2~3000ドル台、SR1911スタンダードは3桁で700ドル台と安価ですがガンショップのおっさん曰く射撃性能の評価は高いそうです。
追記24/06/08: 2024年現在の実売価格は$900弱台となっています。
2016年に訪問したテキサス州ヒューストンのガンショーでもSR1911はたくさん売られていましたので人気があるのでしょうね。所有している人もかなり多そうです。
↓テキサス州ヒューストンのスポーツ用品店で飾られるSR1911達。
SR1911の外観レビュー
3点の白いドットで照準し易いノヴァック(Novak)サイト、茶色の木製グリップの温かみのある雰囲気、さらにこの銃の信頼性を保証するかのようにスライド右側にポツンと刻印されたルガーのマークが信頼の安心感を与える。
借りたSR1911はフルサイズのスタンダードモデル。スタンダードはスライドもフレームもシルバーとなっている。
↓黒いスライドストップやセーフティロックがシルバーのフレーム上で映える。オリジナルのシリーズ70と異なり長めのサムセーフティが採用されている。個人的には黒とシルバーのコントラストが非常に格好良い。トリガーは3ホールで射手に合わせてトリガー位置の微調整が可能だ。
↓オリジナルのシリーズ70のようにシングル・サムセーフティで本体右側にはサムセーフティが付いていない。スッキリしたシンプルな外観は格好いい。両側にセーフティの付いたアンビ・サムセーフティを好む人は多いが、個人的には1911タイプは右手でしか撃たないのであればシングル・サムセーフティが一番合っていると思っている。右側にもサムセーフティがあると右手で深くグリップした時に人差し指付け根部分が当たるのだ。
↓リコイルスプリングガイドはオリジナルのシリーズ70を踏襲しておりスライドが後退しても、多くのカスタム1911に採用されているロングリコイルスプリングガイドのように見えることはない。
写真では背景が黒っぽいので分かりづらいが黒いビーバーテールが付いている。オリジナルの1911で問題となったハンマーバイト(撃った後にスライドが後退してハンマーがグリップしている親指と人差し指の間を挟んでしまうこと)の危険性がない。
↓オリジナルのシリーズ70同様に薬室に弾が入っているかどうかのローディングインジケータは付いていない。
全体的にシリーズ70のデザインをやり過ぎないようにシンプルにかつ機能性を重視、見た目を格好よくカスタムした1911である。今流行りのものを何でも付けず、厚化粧ではなく薄化粧、濃い味ではなく素材の旨味を活かした薄味で調理(カスタム)された値段的にも庶民に優しい銃だと思います。
SR1911を実射!撃ち味はどうか?
マガジンには8発装填出来る。.45ACP弾をプチプチと一つ一つ押し込んでいくがスムーズにマガジン内に入っていく。粗悪なマガジンだとスプリングが固すぎたり途中で詰まったりするのでこの点は高評価だ。
ガンショップで購入したのはFederal Ammunition社製の.45ACP 弾だがどの程度のグレインであったのかは忘れた。実射レビューとしては弾のグレイン情報は必要であるが、とりあえず撃ちたいというトリガーハッピーな素人ということでお許しいただきたい!?
さあ、海外銃雑誌に書かれていた「シリーズ80以降に採用されたファイヤリング・ピン・ブロックが装備されておらずトリガーの引きがスムーズ」とやらを味わらせていただこう。ターゲットを10mくらいに位置させて撃つっ!
。。。正直分からない。
45口径のリコイルをコントロールするのに精一杯で超微妙なトリガープルのフィーリングなんぞどうでも良くなってくる。まずはリコイルコントールが出来て、弾が狙ったところに集中して、めちゃくちゃシリーズ70とシリーズ80を撃ちまくった結果、初めてファイヤリング・ピン・ブロックについて言えるのだろう。
恥ずかしながら、海外銃雑誌を読んで、違いが分かる男になったと勘違いしておりました。ハンセイ。
さてさて肝心の撃ち味ですが、グリップを深くかつ出来るだけスライド近くまでグリップ出来るためリコイルは強いが銃口が上に思い切り跳ね上がるのを抑えることが出来るので比較的容易で撃ちやすい。ここはSR1911に限らずどの1911タイプに共通することだが、前述したようにシングル・サムセーフティのおかげでサムセーフティがグリップハンドを邪魔することもなくストレスなく撃てる。
久しぶりの45口径で最初はリコイルコントールに苦労した。知らずのうちにサポートハンドを異常に力を入れており銃の反動を制御しようとしていたため、銃が下向きに向いたようで着弾は左下に集中した。これは私の射撃を見たレンジマスターが指摘してくれたことである。この後、徐々に着弾が修正されていった。やはりプロが近くにいて指摘してくれると上達する。
↓左下に集中した最初の25発時点での成績だ。一因としてサポートハンドの左手に力が入ったために銃口が下がったことが考えられる。その後に修正されていくがターゲット写真は撮り忘れた(わざと!?)。
ルガー(Ruger)という信頼のある銃メーカーの1911なので、それだけで信頼性があるが、撃ち味も良く、格好よくカスタムされておりかなり気に入った。最初に1911を買うとしたら間違いなくSR1911は候補に挙がる銃であろう。
さて、肝心の翌日の商談であるが準備不足でプレゼンが上手くいかなかったことを告白してここで筆を置きたいと思う。
※ 本記事は管理人が以前運営していた「GUN雑誌DIGEST」に掲載していた記事を加筆、修正したものとなります。
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